折々の記 能楽舎 河村晴久オフィシャルサイト

折々の記

「嵐山」4月25日の御案内

   

4月25日(日)の京都観世会4月例会で、「嵐山 白頭」を舞います。

 

桜の様子を見るようにとの天皇の命令を受けた勅使(ワキ・ワキツレ)が春爛漫の嵐山に赴くと、見事な桜の下に老人(前シテ)と姥(前ツレ)が現れ、桜の世話をし、桜について語ります。そして自分達は吉野の子守、勝手の神であると明かして南の方に去ってゆきます。その夜、子守、勝手の神(ともに後ツレ)が現れ舞を舞うと、吉野の蔵王権現(後シテ)も現れ、花に戯れ、御代を寿ぎます。金春禅鳳作の、華やかでめでたい曲です。

 

能「嵐山」は、昭和59(1984)年に舞って以来37年ぶりにシテをつとめます。今回は「白頭」の小書(替えの演出)が付き、頭にいただく髪が白色となり、劫を経た神になります。力強く豪快で晴れやかな曲で、この時節、明るい世となるよう、力一杯つとめます。

 

「恋重荷」の御案内

   

3月21日(日)に、「恋重荷(こいのおもに)」を舞います。

 

昨年は父晴夫の七回忌にあたりました。また叔父河村隆司十三回忌、従兄弟の信重十七回忌、栄重一回忌でもあり、父の祥月命日の翌日となる昨年3月20日に追善の会を催すことにしておりました。ところが感染症予防のため延期することとなり、今年3月21日(日)に同じ番組で、京都観世会館に会場を変更して、河村定期研能会追善別会を行います。私は「恋重荷」、弟晴道は「求塚」を披きます。どちらも、大曲です。

 

「恋重荷」は世阿弥の作品。庭の手入れをする老人が、女御の姿を見て恋におちます。もとより身分が違い、叶うわけがありません。臣下は老人を呼び出し、美しく飾った重荷を持ち、庭を百度も千度も巡ったならば、女御が姿を見せてくださると告げます。叶わないことをわからせようとの仕打ちですが、老人は一途に重荷に挑み、ついに命を失います。女御は老人の亡骸を見て、その無残さに心を寄せますが、重荷に苛まれて立ち上がれなくなります。そこに鬼に変じた老人の霊が現れ、女御への恨みを述べます。しかし最後には心を翻し、守り神となります。

 

世阿弥は、この曲以前に「綾の太鼓」という能のあったことを記します。現在観世流にはなく、宝生流、金剛流にある「綾鼓(あやのつづみ)」がその曲です。重荷の代わりに、音の出ない綾の布を張った鼓を打てと命じられ、老人が死に、恨みの鬼となって現れる能です。「綾鼓」では、老人は恨み通して終曲します。首尾一貫し、この方がいいように若い頃は思っていました。しかし最近は「恋重荷」の深さ、壮絶さを感じています。女御が頼んでもいないのに、守り神となり、常に付き添う、つまり、決して老人から離れられないという強烈な報いがあります。老人が現世でいだき続けた女御への恋慕は、非業の死を境に、時空を超えて、まさに「重荷」そのものとなって、永遠に焦がれる人を圧し続けます。

 

人の心と命に向き合う名曲を、大切に勤めたいと思います。ぜひ御高覧ください。番組詳細はこのホームページの「演能案内」を御覧ください。

 

3月9日(火)午後1時から、佛教大学四条センターの「能へのいざない」オンライン講座で、父のビデオ映像を使い、「恋重荷」のお話をいたします。聴講無料です。御自宅で御覧下さい。(1週間前までに佛教大学四条センターへの申込が必要です)

 

掲載の写真は1987年に父が舞った「恋重荷」(撮影金の星渡辺写真場)です。


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京都府文化賞「功労賞」を受賞しました

   

このたび、思いもかけず、京都府文化賞「功労賞」を賜りました。

   

「能楽師として多くの舞台で優れた舞を披露し、高く評価されている。海外での英語講演を実施し、「伝統音楽普及促進事業実行委員会」を主宰して教育界と協働した教材を開発するなど、外国人や次世代への能の普及にも大きく貢献。」と御紹介いただきました。

   

受賞は、多くの方々に支えていただいてこそのことであり、共に舞台を作る方々、御覧いただく方々、いろいろ御縁をいただいた方々の、日々の御支援に感謝申し上げます。今の「初心」を忘れず、なお一層精進いたします。

   

コロナ禍のため、授賞式は行われず、賞状を御郵送いただきました。

   

こちらも御覧下さい
京都府文化賞
https://www.pref.kyoto.jp/bungei/bunkasho.html?fbclid=IwAR2GW5WQcsOSZlDREUp4MVDLGTxC355S4zj6Q46E_qHcud9wmJ5xfHyRAgs

https://www.pref.kyoto.jp/bungei/documents/39thbunkasho_jushosha.pdf


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2020.10.30 ホーム頁冒頭に動画を追加しました。

能「敦盛」

シテ: 河村晴久

ワキ: 有松遼一

笛 : 左鴻泰弘、小鼓: 吉阪一郎、大鼓: 河村大

後見: 河村浩太郎

地謡: 河村和貴・河村和晃

能「井筒」

シテ: 河村晴久

ワキ: 有松遼一

笛 : 左鴻泰弘、小鼓: 吉阪一郎、大鼓: 河村大

地謡: 河村和貴・河村和晃・河村浩太郎

撮影

企画・プロデューサー: 村上典吏子

監督・撮影: 瀬川龍

撮影: 俵謙太・星野麻美、撮影助手: 藤澤蘭、照明: 原由巳、CG・編集: 蓑輪広二

英文翻訳: Peter MacMillan